と き:2024年10月21日(月)19時〜21時10分
ところ:YMCAせとうち301&オンライン
参加者:理事、評議員、職員、ワイズメン役員、現役リーダー4回生、リーダーOP、協力者
理 事:正野、太田、蔵知、佐藤、(オンライン)難波、高本、
評議員:延藤、高原、妹尾
ワイズ:片山
協力者:松本
卒業生:小坂、平野、辻本、藤澤
ユース:谷川、藤村
職 員:有安、市川、白鳥
総合計:20名(男性11名、女性9名・内ユース6名・キリスト者12名)
はじめに
今年度から常議員会を改めて組織し直し、YMCAの会員活動を活性化するため、定期的に会合を持っています。第1回目は、ユースリーダーからシニアまで様々な年代の方が集まり、出会いと語り合いを目的に5月13日(月)に行ないました。第2回目は、第1回の出会いをベースとしながら、YMCAが社会の中でより良いインパクトを与えるために、わたしたちに出来ることは何か?を考える時間とし、さまざまなアイディアを出し合う機会を7月に行いました。今回は第3回目、取り組みをより具体的ものとするために、4つのチームを組織し、じっくりと話し合う機会としました。みなさん、ありがとうございます。
①イントロダクション
◯開会の讃美歌(延藤好英牧師)
◯YMCAトランスフォーム〜YMCAの未来の姿:ポジティブネットのある豊かな社会とは?
スライドをもとに、改めて目指している姿を共有する機会としました。VISION2030を基盤としたハイブリッド型NPOの姿が紹介されました。
〇トンネルを掘ることの意味と私たち
今回、会の冒頭で、こんなお話をさせていただきました。
何かに着手し、成し遂げようとするとき、たしかに掘り進めているトンネルがゴールに通じるという感覚があること、大切に思います。
もし時間旅行ができるなら、数年前の不安を抱えたチームのところに行って、大丈夫、確かにこのミッションは成し遂げられる。そう伝えてあげたくなります。
この感覚が読書に通じているのだと、内田樹さんの著作、街場の文体論から学びました。
以下、引用。
こういうことを言う人はあまりいませんけれど、読書というのは、「今読みつつある私」と「もう読み終えてしまった私」の共同作業なんです。どれほどストーリーが錯綜して、謎が深まっても、僕たちが忍耐強く推理小説を最後まで読めるのは、最後に名探偵がすべてを解決してくれて、「なるほど、そういうわけだったのか」と得心している「読み終えた私」を想定しているからです。その「読み終えた私」が保証人になってくれているからこそ、「今読む」ということができる。もし、読み終えてみても、犯人もつかまらず、謎も解かれず、すべてはうやむやのうち …という終わり方もあるかもしれないと思っていたら、推理小説なんかとても読めません。
「読んでいる私」と「読み終えた私」は砂場で両側からトンネルを掘っている二人の子どものようなものです。掘り進めてゆくうちに、だんだん向こうからも掘り進む手が近づいてくるのがわかる。最後の薄い砂の壁が崩れると、手と手が触れあい、風が吹き通る。ああ、ついに出会えたという達成感がある。一冊の本を読み終えるというのは、そういうふうに「私が読み終えるのを待っていた私」ともう一度出会うことなんです。
引用ここまで・・・・・・・・・
なるほどそうだよなあと納得。しかしながら最近の現実の社会は変化も激しく、果たして成し遂げた私たちが向こうからちゃんとトンネルを掘ってくれているのかがわかりづらく、
時に確信を持てそうに無くなります。しかしながら、だからこそ、まだ見えぬ成し遂げた私たちを信じてトンネルを掘り続けることの大切さを想う日々です。
ただ、確信をもって言えるのは、「YMCAはすでにゴールを明確に定めている」ということです。ポジティブネットのある豊かな社会を創るために、わたしたちは存在しています。
そしてその結果として、世の多くの方から物心両面で支持される、そんな組織へとトランスフォームすることが今のわたしたちの課題です。
②分団討議
第2回の常議員会の話し合いでは、4つのプロジェクトの可能性が語られました。その議論をもとに今回4つのチームを組織し、60分間の話し合いをしました。前提条件として、目指すべき目標の共有をしたうえで、担当理事と担当職員同席の下、熱い議論がかわされました。詳細は各分団の記録をご参照ください。
1)ICT化検討委員会
提案:①決済方法の追加・変更
②ホームページのリニューアル
・クレジット払いができることは、メリットが多いので、クレジット払いができるようにしていく。
・手数料が上がるとしても、カード払いを選択できるほうが良い。
・ゆうちょ銀行一択ではなく、他銀行の選択ができることは必須事項である。
・現在稼働しているWordPressは主に「新規ユーザーを対象としている概要のみが書かれたカタログのような役割とする。
・グーグルのスプレッドシートやフォームを主に活用しているので、会員メンバーに対しては、グーグルサイトを活用する。
2) 建物検討委員会
提案:以下のように4つの選択肢があることを確認した。
①リフォーム(費用は一番安く済む)
・会館のほぼ全てを学童保育の教室として使う。
・事務所は別の場所に。
・リーダー会の部屋も別の場所に。
②建て替え(一番いいが、一番高くなる)
・立地は魅力的なので、この場所を使い続けるのが良い。
③移転(どこに移転するかが問題)
・リーダーが集まりやすい場所はどこか?
④別の場所を借りる
・現在の会館が持っている機能を整理すると、事務所・学童保育・英会話・リーダー室が主たる活用内容。
・それぞれの機能を別々の場所にすることもあり得るのではないか。事務所機能は東山、学童保育は中山下など。
・現在の場所は魅力的であることは間違いない。隣が公園・お店が多い・駅に近い・街中にある。
・まずは不要なものを処分する。
3) 新規事業検討委員会
提案:①FHの建物を使って、グループホーム(チャレンジドの方々を対象とする)を実施する可能性を探る。
②平和を構築する働きとして、アジア諸国の歴史を学んだ上で、近隣諸国との交流を行う。(ピーストライアングルの活動の延長)
③「ポジティブネットのある豊かな社会」の言語化を行い、理解を深めるとともに、世に発信していく。
④日本語学校の可能性を探り、今後の日本の人口減少社会に貢献できる良質なプログラムを構築する。
⑤新たな活動は、その活動自体が収支を産み出すというよりは、「人の育ちを支援する」ものとし、結果的に共感を得、寄付していただけるようなものを志向する。
⑥YMCA単独で実施することのみならず、志を同じくする組織(教会・NPO・NGOなど)と協働することを視野に入れる。
・オーニックの事例で、従業員の中のチャレンジド率が80%であることや、仕事の質の高さの故にみながプライドを持って働いていること、
その結果、個々の収入がずば抜けて高いこととは学ぶべき点が多く、大変参考になった。
・大学生世代の育ちを支援するために活動として、国や大学などの制限を外したシェアハウスのようなものができないか。
・近隣との関係性が極めて希薄となった今、ネイバーフッドデザインの思想を元とした「集える場所」の創出は急務である。
・やすらぎの泉の事例は参考となった。
4)ユースエンパワーメント委員会
提案:①大学生ボランティアリーダーの新たな募集方法を探る
②リーダーの定着率・関係性の改善
・現状の課題として、リーダーの定着率の低さと、関係性の希薄さがある。
・リーダー同士で、より細やかに声をかけていき、YMCAにはあなたが必要だということが伝わるようにする。
・男性リーダーの減少が大きな課題である。
・以前は、サッカークラスやバスケットボールクラスがあり、毎週リーダーが活躍する場があった。
・コロナ以降、クラスを休止していることもあり、男性リーダーが「来てみよう」と思える活動が少なくなっているのでは。
・ユーススポーツクラスがあると、「来週来てみる?」と気軽に誘うことができる。
・具体的な内容を提示し、「行ってみようかな」と思えるクラスを再創出する。
・それぞれが、協力者を作り、ボランティアをやってみたい人、こどもが好きな人など、紹介しあえる関係性を作っていく。
・告知が下手なので、YMCAでボランティアができるということを知っている人が少ない。広報に工夫をこらす。
・全国のYMCAで、高校生と関わりがある人たちに、その地域の大学のあるYMCAを紹介し合うシステム創る。
③わかちあい
◯ポジティブネットとネガティブネット
日本YMCAは「ポジティブネットのある豊かな社会を創造する」と謳っています。「みなでともに手を携えて、そんな社会を創りたいということ」想いが満載の分かち合いで、それぞれのグループからひとりづつ、状況を発表くださいました。この発表を元に、次回の常議員会までに具体的方策を立案し、実行していきます。そんななかで「ポジティブネットある豊かな社会」のイメージを合わせておく必要があるとの意見がありましたので、情報を共有しておきます。
◯太田小論より抜粋(全体はPDFを参照ください)
最後の段階は、日本や世界(社会)が変容 することである。それは、提言事業(地域や 国への提言)として位置づけられ、事業をと おして、世を変えていく働きである。
個の変 容という一見遠回りに見えるアプローチが、 社会を変えていく、ポジテブネットの広がりとは、まさにそのようなことを意味している。
すべての人が生まれてきてよかったと安心できる社会、それこそが理想ではなかろうか。しかしながらご存知のように、現実はそれと は程遠いのである。この「ポジティブネット」という新しい概 念を明確にするために、関西学院大学の中道 基夫教授は、「ネガティブネット」という概 念を同時に創り出し、その存在を定義し、要 素を以下のようなものと仮定している。
「ネガティブネット」とは、「お互いを認め ることなく、足を引っ張り合い、傷つけ合い、 不安や憶測、後ろ向きな考えや偏見によって束縛され、逃れようと思っても逃れられないネットワーク」であり、以下のような要素で構成されるコミュニティである。
・今だけ、金だけ、自分だけ。あまりにも経 済に偏重した社会
・社会に絶望をもたらし、満たされることのない豊かさを提供する
・自分が困った時に、助けてとは言えないSNS
・ものが豊かにあるにもかかわらず、誰もが 生きづらい
・未来に希望を見いだすことができない閉塞 感の中でなんとなく幸せな社会
・生きるために与えられた選択肢はたった一つ今だけ、金だけ、自分だけ
・人と人とを分断していく、格差・無縁社会
一方のポジティブネットは、以下の要素で 構成されているはずである。
・社会に希望をもたらし、心を満たす豊かさを提供する
・自分が困った時に「助けて」と言えば、誰かが手を指しのべてくれる SNS
・物と心の豊かさが同等に存在し、誰もが最期まで生き生きと過すことができる
・未来に希望を見いだすことができ、将来に向かって充実を感じる幸せな社会
・生きるために与えられた選択肢は多様で、自分で考えて選ぶことができる
・人と人とが適度の距離感を持ち、格差と無縁なネットワーク型社会
・お互いを認めあい、高め合うことのできるつながりがある社会
さて、どちらの具体例が現代社会に実態に 近いのであろうか?ネガティブネットのある社会のほうが、圧倒的に今の日本社会そのものであると思うのは、私だけではあるまい。われわれの実態は、ポジティブネットのある社会とは程遠く、むしろ「そんなものはどこにあるのか ?」というのが本音であろう。それどころか、まさに現代は、ネガティブネットの蔓延する社会そのものなのだ。そこに追い打ちをかけるかのようにコロナ禍が発生し、安全網の構築はおろか、もはやなんの助けもなく、絶望の闇の中に放り込まれた状態が当たり前となってしまった。
◯おわりに
今回も活発に意見がかわされたこと、嬉しく思います。会を重ねるに連れ、「徐々にではあるがやるべきことが見えてきた」や、「自分はこの事柄を通してYMCA運動に貢献する」などの積極的な感想が寄せられるようになったこと、嬉しく思っています。YMCAが目指している「ポジティブネット」(互いの存在や個性を認め合い、高め合うことのできる、善意や前向きな気持ちによってつながるネットワークのこと。)が、よくわからないという本音のご意見を聴かせていただく機会にもなり、改めて再確認できたことも有意義でした。第2回目で出してくださった意見は以下のようなものでした。
(1)時間の流れがルーズなので、「定刻主義」で会の運営を行うべきである。
(2)会員の利便性を図り、クレジット決済ができるようにして欲しい。
(3)ICTを使いこなし、効率化することで、業務のDXを行う。
(4)会館の未来を思い描く機会を持ちたい。
(5)プロジェクトごとのチーム(委員会)を作る。
今回、この意見を受けて(5)を具体化することができ、成果が見え始めたことは大変うれしいことでした。これから1月の常議員会に向けて更に準備を重ねていきます。また今回は時間通りに開始し、終了することにも注力することができましたことも合わせてご報告しておきます。今回ご参加くださったみなさんのみならず、やむなく欠席だった方々にも心より御礼を申し上げます。今後ともよろしくお願いします。
◯閉会のお祈り 延藤牧師
どのような時も、イエスさまが共にいてくださるゆえに希望を持って生きることができることを感謝します。
「YMCAせとうち」の出会いとつながりを感謝します。わたしの小さな働きを尊く用いてくださるあなたに信頼し、自分のできることを、心を込めて行う者としてください。
イエスさまのお名前によってお祈りします。アーメン。