【活動報告】
2023年。年明け早々の1月7日~9日まで、兵庫県養父市にあるハチ高原スキー場でスキーキャンプをおこなってきました。今回は、岡山・香川から40名のこどもたちと、リーダー・スタッフ合わせて総勢54名のキャンプとなりました。
高松駅集合のこどもたちは、午前7時30分に集合。その後バスで岡山まで移動し、岡山で集合したこどもたちと合流し、一緒にバスに乗ってハチ高原に向けて出発しました。バスの中では初めて出会うこどもたち同士、自己紹介をしたりゲームをしたりしながら、少しずつ打ち解けていきました。ハチ高原に着くまでは、道路の状況も良く、路面が凍結したり雪で通行しにくい場所もなく、順調に行くことができました。バスを降りると周りは一面の銀世界。「わー!きれい!」と言う感嘆の声が自然に出てきました。
今回の宿泊先であるホテルかねいちやに到着し、お弁当を済ませると、そのままチェックイン。お部屋に荷物を置いたりスキーウェアに着替えたりして、早速外に出ていきました。ホテルかねいちやはゲレンデリフトの目の前にあり、こどもたちが外に出ると、すでにスキーを滑っている人たちがいるのが見えました。雪遊びをする森の中はあまり人が立ち入らない場所のため、中に入って行こうとすると足が深く埋まってしまうような場所でした。それでも大きな雪だるまを作ったり、穴を掘って雪洞を作ったり、雪の斜面をお尻で滑って滑り台を作ったり。誰かに教えられたわけでもないのに、雪を目の前にするとみんな色々なことをやり始めていました。
その後、温かいお風呂に入り、おいしい夕食を食べた後は、体育館に集まってゲーム大会をしました。今回のキャンプはこどもの数が全員で40人。学年によってグループは作っていますが、グループを超えた関わりができるキャンプでもありました。
【2日目】
いよいよ朝からスキー講習が始まります。これまで一緒に過ごしてきた生活グループから、今度はスキーグループに変わります。スキーグループは、スキーの経験やレベルごとにグループを作るため、学年の幅があったり、男女が同じグループになることもあります。そこに現地スキー学校のインストラクターとリーダーが一緒に担当しながら、スキー講習が楽しくできるように配慮しました。
初めてスキーを履く子供たちは、履き慣れないブーツを履いて、歩くだけでも大変そうでした。しかもスキーの板を装着するために、思うように動くことができませんでした。でもコーチが優しくスキーを教えてくださったため、こどもたちのやる気も高く、上達もぐんぐんしていきました。
1回の講習は2時間ですが、初心者コースでは雪上での基礎的な雪慣れをした後は、早速緩やかな初心者向けの斜面でスキーを滑る練習が始まりました。これまでのスキーキャンプの中でも最も早いペースで斜面を滑る練習が始まりました。一方、これまでにスキーを滑った経験のあるこどもたちは、リフトに乗って初級者コースに行きました。自分で滑り出し、止まることができるこどもたちは、次の段階として曲がる練習を始めました。最上級コースのこどもたちは、より高いレベルのスキーをするため、ハチ高原の山頂まで登り、去年までの滑りを思い出しながら滑っていました。
それぞれのスキーグループの練習を終えて、かねいちやにみんなが戻ってきました。お昼ご飯を食べて少しゆっくり過ごした後、午後の講習が始まりました。ハチ高原には、全長3.5kmの林間コースがあります。普段は農道として使っているところを、冬の間は車の進入を止め、スキーヤーに解放しています。初心者のグループは、「このスキーキャンプが終わるまでに、この林間コースを滑り切ること」が例年の目標でした。しかし今年は、2回目の講習で早くもこの林間コースに挑戦しました。コーチやリーダーと一緒に森の中を抜けていく林間コースは、木々の間を抜けていく素敵なロケーションです。しかし初心者のこどもたちは、滑ることに集中しているため、周りの景色を見る余裕はありません。途中何度か転ぶ子もいましたが、全員が最後まで滑り切ることができました。
その頃、最上級コースのこどもたちは、次のレベルを目指し、プルークボーゲン(ハの字でターン)から、パラレルターン(足を揃えてターン)を目指して練習をしました。3回目の講習も、怪我なく無事に終えてスキーグループから生活グループに戻りました。
「スキーはどうだった?」「林の中をスキーで滑ったんだよ。」「リフトに乗ったよ。」それぞれの経験をグループのリーダーや仲間たちと分かち合う楽しい時間。そして前日の続きの雪遊びをしました。
温かいお風呂に入り、夕食を済ませると、スキーキャンプ恒例の4年生タイムです。3月に大学を卒業して社会人になっていくリーダーたちから、こどもたちへのメッセージがありました。この4年間のYMCAでのリーダー生活や、その中で一人ひとりのリーダーがより良く変わっていたこと。こども達から受けた影響、それらをまとめた感謝の気持ちが述べられました。
【3日目】
朝のスキー講習のために外に出ると、青空が広がっていて、この3日間の中で1番いい天気になりました。最後の講習の始まりです。昨日に引き続き林間コースを滑りに行くグループ。山頂から滑り降りてくるグループ。何度もリフトに乗って滑るグループ。それぞれのレベルに合わせて講習内容が違っても、みんな最後の講習を思う存分楽しみ、後悔のないように滑りました。最後はこの2日間、スキーを教えてくれたスキー学校のコーチたちにお礼をして、帰る準備、昼食を食べました。帰るときには、かねいちやのスタッフの方や、スキー学校のコーチたちが見送りに来てくれました。楽しかったスキーキャンプも終わりに近づき、みんなでバスに乗り込んで岡山と香川を目指して出発しました。
【キャンプディレクターより】
スキーは小さなこどもから、おじいちゃんおばあちゃんまで楽しめる生涯スポーツと言われます。このスキーキャンプで初めてスキーを履いたこどもたちにとっては、スキーとの初めての出会いの瞬間でした。そのファーストインプレッションの良し悪しによっては、こどもたちがその後もスキーをするかしないか、それが決まる大切な出会いのチャンス。私たちはそのことを、スキー学校のコーチとも共有し、共にこどもたちがスキーと良い出会いができるように準備をしてきました。初心者のスキー講習は、こどもたちにとって初めてのことばかりです。だからこそ、できなかったことができるようになる瞬間の連続でもあります。そしてその瞬間に私たちリーダーが立ち会えると言うのは、実に幸運なことだと思わされます。
こどもたち同士は、お互いに励ましあったり、認め合ったり、讃えあったりします。それは最初からの、その子の頑張りを知っているからに他なりません。「自分がされて嬉しいことを人にもしよう。」このキャンプの初めから、こどもたちと話してきたことです。人の喜びを共に喜び、人の悲しみに涙する共感力のある人になってほしいと願っています。このキャンプがそのプロセスの1つとなっていれば幸いです。そしてまた来年もスキーキャンプに来て、今年以上の滑りができるようになりましょう。
キャンプディレクター:白鳥雅人/プログラムディレクター:市川 愛