アドベントとなりました。クリスマスのご挨拶を申し上げます。

Facebook
Twitter
LinkedIn

イエスは言われた。「『心をつくし、魂をつくし、思いをつくして、あなたの神である主を愛せよ。これが、もっとも重要な第一の掟である。第二もこれと同様に重要である。『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。』」 マタイによる福音書 22章37節~39節

 主の御名を讃美します。
 2025年のクリスマスを、私たちは深い不安の中で迎えています。
 国内を見れば、「日本人ファースト」という言葉に象徴されるように、内向きのナショナリズムが強まり、私たちの社会は分断の危機に瀕しています。一方で、世界に目を向ければ、宗教的対立が絡み合った戦争や紛争が続き、「私たちの神」と「彼らの神」という排他的な叫びが、何百万人もの命と希望を奪っているように見えます。しかしながら、自戒を込めて言うのなら、私たちも「クリスチャンファースト」に陥ってはいないでしょうか。もしそうだとするなら、それは、この世界の暗闇を灯すどころか「自分たちの内側」にだけ光を囲い込む行為になりかねません。これは、イエス・キリストがこの世に来られた真の目的に反します。クリスマスは、裕福な宮殿でも、立派な神殿でもなく、飼い葉桶という最も低い場所に、神の子が生まれた出来事を祝います。
 
この誕生のメッセージは、排他性を打ち破る、次の三つの真実を私たちに教えています。

① 境界を越える愛:神さまは「誰かファースト」を選ばなかった。
神さまは、当時のローマの支配者や、宗教的指導者たちを選ばず、羊飼いや貧しい人々、そして異邦人の博士たちにその知らせを届けました。キリストの愛は、「私たち」という内輪の壁を最初から持っていません。「日本人ファースト」も「クリスチャンファースト」も、神の前にあっては意味を成しません。なぜなら、神の愛は、国籍、肌の色、信仰の有無に関係なく、すべての人に向けられているからです。今、私たちに必要なのは、「ファースト」(一番)を目指すことではなく、「ラスト」(最後、最も弱い立場)にいる人々を想い、寄り添い、ともに歩むことです。

②平和へのへりくだり:低い場所から生まれる希望を信じる。
戦争や対立は、自分たちの正しさや優位性を主張する傲慢さから生まれます。キリストが最も低い場所を選んだのは、私たちに「へりくだること=低みに立って見直すこと=メタノイア」こそが真の平和を生む力だと教えるためです。私たちがクリスチャンとして、あるいは日本人として、自分たちの特権や「あたりまえ」を疑い、他者の痛みに耳を傾けるとき、そこに初めて和解の道が生まれます。自己義認という傲慢さを捨て、「罪人のわたしを憐れんでください」と祈る謙虚さこそが、排他的なブーメランを止める唯一の鍵です。

③共に灯す光:希望は分かち合うものと合意し、行動に移す。
2025年の冬、私たち一人ひとりが、自分の心の中のロウソクの火を、内側に向けて守るのではなく、分断された世界に向けて掲げましょう。それは、ウクライナの凍える人々、ガザの悲しみに暮れる家族、日本の社会で孤立する隣人、そして、わたしたちの信仰や価値観を私たちの力不足がゆえに、届けることができていないかもしれない仲間たちに向けた光です。

今年のクリスマスは、「イエス・キリストは、私たちのため だけでなく、 世界中のすべての被造物のために生まれた」という、あの力強いメッセージを心に刻みたいと願います。 新しい年も何卒よろしくお願いいたします。  主にあって  
 
●2025年アドベントのお祈り
 神様、どうか私たちを、「ファースト」という名の鎖から解放してください。
 私たちが、国や、宗派や、文化という名の壁を打ち壊し、
 最も低い場所で、あなたの愛を、すべての人々と
 分かち合うことができますように。 アーメン。
                        2025年 アドベント 理事長 正野隆士・総主事 太田直宏

Facebook
Twitter
LinkedIn
上部へスクロール