最終日の映像制作ディキャンプも、会場はOMSでした。OMSは、おかやまメディアサポートの略称で、コロナ発生以来の大切なビジネスパートナーです。会社は、表町のキムラヤパンの上の2階〜4階にある秘密基地のような場所。もともとはライブハウスと音楽教室を行っていましたので、大きなホールや防音完備のスタジオなどが多数備えられています。加えてスタッフのみなさんは、サポート=支援するマインドたっぷりの一流人材ばかりなので、今回もその力を存分に発揮し、こどもたちのやりたいことをできるだけ聴きあげながら、作品創りに協力してくれました。お陰でそれぞれのグループの作品は、雰囲気や中身がバラエティに富んだものに仕上がりました。
グループごとの4つの作品の仕上がりは、各グループの個性が滲み出ています。かつては大変だった映像編集作業も、いまや全てがデジタル処理が可能となり、まるで紙とハサミとのりを使う感覚で、タブレットやパソコンを使っていろいろなものを創造することが可能です。ポイントは経験があるかないかなのです。今回の3日間の体験は、そういう意味でとても大切な時間であったと想います。コロナの時代はまだまだ続くと予想されます。そんななか何かを創り出していくという営みは、ますます大切なこととなっていくはずです。今回の参加者の中から、そんな人が育つことを願っています。
「グライダーではなく、飛行機のような人の育ちをめざして」
「学校はグライダー人間の訓練所で、飛行機人間はつくらない。優等生はグライダーとして優秀だが、ひとつ飛んでみろといわれると途方にくれる。」先日亡くなったお茶の水女子大名誉教授・外山滋比古さん(95)の「思考の整理学」(ちくま文庫)からの引用です。「コンピューターという飛び抜けて優秀なグライダー能力のもち主が現れ、自分で飛べない人間はコンピューターに仕事を奪われる」。それならグライダーにエンジンを搭載するにはどうしたらいいか考えようというのです。コンピューターのできない事をやる。倉庫じゃなくて、新しいことを考え出す工場でなくてはならない。知的工場にするため、どんな情報が必要かを選択して整理することが大事になる。」今やコンピュータという道具を使ってさまざまなことができる時代になりましたが、創り出す営みは、人にしかできません。
今年はYMCAが日本でキャンプを始めて100年目の年でした。私たちは、その開始のときから一貫して「問いかける」ことを大切にしてきました。グループ活動を通して、仲間とともに考え、行動する。これがすべての基礎となります。そして、YMCAでは支援者として大学生ボランティアリーダーが関わっています。こどもたちにとっては、憧れのお兄さん・お姉さん。この存在に意味があります。憧れは、こどもたちの育ちを加速化するのです。リーダーたちも「こどもたちと、元気で一緒に遊べて私たちもすごく楽しい3日間だった」と話し、リーダーもまた同時に成長していくのです。
コロナという未曾有の状況の中だからこそ、「コロナだからといて諦めず、前に進む」そのための活動をこれからも実施していきます。今後とも変わらぬご支援をお願いします。